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続・質問帳

若林隆壽

質問

「涅槃会(ねはんえ)」とはどんな法要ですか。

回答

若林隆壽

  「涅槃会」は仏教を開かれたお釈迦さまの入滅(にゅうめつ)(亡くなられた日)に合わせて、その様子を描いた「涅槃図」等を掲(かか)げて催(もよお)される、ご遺徳(いとく)を偲(しの)ぶ法要です。わが国では、多くが二月十五日、またその前後に行われます。
 仏教では、人間は、「六識(ろくしき)」=眼(げん)・耳(に)・鼻(び)・舌(ぜつ)・身(しん)・意(い)(見る・聞く・嗅(か)ぐ・味わう・感じる・思う)という基本的な感覚のそれぞれに「無明(むみょう)」=貪(とん)・瞋(じん)・痴(ち)(むさぼる・いかる・おろか)と「悪見(おけん)」=慢(まん)・疑(ぎ)・見(けん)(あなどる・うたがう・悪い考えを起こす)の「六煩悩(ろくぼんのう)」を本として、数え切れないほどの悩みの火種(ひだね)を抱えている、と説いています。
 「涅槃」のもともとの意味は、燃え盛る「煩悩の火が吹き消された状態」のことです。常に心穏(おだ)やかな平安の境地に達せられ、生きてそれを体現されたのがお釈迦さまですが、亡くなられて肉体が消滅し、迷いのない状態に入られたと考えて、「亡くなること」=「涅槃」と表現されるようになりました。

 涅槃会や皺手(しわて)合する数珠(じゅず)の音

 これは、松尾芭蕉の『続猿蓑(ぞくさるみの)』にある句です。江戸時代も「涅槃会」には、今と変わらずお年寄りのお参りが多かったのでしょう。しかし、「煩悩の火を消す」という「涅槃」本来の意味に立ち返れば、老若を問わず、過去を反省し、現在を見つめ、未来に思いを馳(は)せる、そんな自分の心と向かい合う一日にしたいものです。

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