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続・質問帳

若林隆壽

質問

お寺の掲示板(けいじばん)に「和顔愛語(わげんあいご)」と書いてありました。どういう意味ですか。

回答

若林隆壽

 

   最近流行(はやり)の「四字熟語」の本などにも登場しますが、これは仏教の経典に出てくる言葉です。人と接するときには「なごやかな笑顔と、愛情のこもった言葉」で、という意味ですが、これは「布施(ふせ)」という考え方を基礎としています。
  通常「布施」というと、お寺さんにお持ちするお金のことだけが思い浮かぶかもしれませんが、実は私たちの社会は、この「布施」の精神抜きには円滑(えんかつ)に動いていきません。
  信者が寺院や僧侶にお金や品物などを施(ほどこ)すことを「財施(ざいせ)」といいますが、これに対し、金品を使わずにできる「布施」を「無財(むざい)の七施(しちせ)」といって、眼施(げんせ)(やさしい眼差(まなざ)し)・和顔悦色(わがんえつしき)施(おだやかでにこやかな顔)・言辞(げんじ)施(励(はげ)ましの言葉)・心(しん)施(慈(いつく)しみの心)・身(しん)施(親身(しんみ)な態度(たいど))・坐床(ざしょう)施(心地よい椅子(いす)とベッド)・房舎(ぼうしゃ)施(快適(かいてき)な部屋)の七つが示されており、「和顔愛語」は、まさに代表選手といえます。
  もし、私たち一人一人が相手の心に寄り添い、与えることの喜びを知ったなら、世の中が明るくなることはもちろん、自分自身も楽しい毎日を送ることができるでしょう。
  自分の価値(かち)にそぐわないことには、なんでもクレームをつけた方が勝ちという「ゴネ得(どく)」社会や、利益を追求する人だけが「勝ち組」を名乗る世の中にしないためにも、「和顔愛語」の心持ちを大切にしていきたいものです。

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