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続・質問帳

若林隆壽

質問

なぜ、お彼岸にはお墓参りをしなければいけないのですか。

回答

若林隆壽

 

  お彼岸のお寺参りやお墓参りを、ご先祖さま、亡き方たちのためという側面から見れば、日頃のご無沙汰(ぷさた)をお詫(わ)びする、懐(なつ)かしい方たちを偲(しの)ぶ、久しぶりにお掃除をするなどの答えが挙(あ)げられるでしょう。
しかしこれとは別に、お参りには他人(ひと)のためだけではなく、自分のためにするという一面があることを忘れてはなりません。ご本尊(ほんぞん)さまに手を合わせ、お墓参りをすることは、いのちの尊(とうと)さを知り、心の平安を得、あなた自身の信仰心を育(はぐく)むことにつながっていくのです。
お彼岸は、迷(まよ)いの世界であるこちらの岸(此岸(しがん))に対して、悟(さと)りの世界、向こう岸を表す言葉です。けれども、私たちはこの日常を生きている限り、貪(むさぼ)り、怒(いか)り、愚(おろ)かさなどに惑(まど)わされ、なかなか、この向こう岸に近づくことができません。
お墓参り お彼岸にお参りすることの基本にあるのは、それが彼岸に近づくための良い行(おこな)いであるということです。「しなければいけない」という「義務感(ぎむかん)」にとらわれたお参りと、「そうしたい」と自発的(じはつてき)にするお参りとでは、自(おの)ずとその結果は違ったものになるでしょう。
お参りという清浄(しょうじよう)な行いを通し、今こうして自分が生きているのだという充実感(じゅうじつかん)を味わい、明日への活力が得られたなら、それこそ彼岸への第一歩です。お彼岸のお参りは、誰のためでもない、自分自身の修養(しゅうよう)のためでもあるのです。

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