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続・質問帳

若林隆壽

質問

なぜ地域によってお盆の時期が違うのですか。いつが正しいのですか。

回答

若林隆壽

 

  ①現行の「新暦(しんれき)」による七月十三日から、②その一月(ひとつき)後「月遅(つきおく)れ」と称する八月十三日から、③「旧暦(きゅうれき)にしたがう八月二十四日前後など、おっしゃるようにお盆の時期は、地域によって違っています。
その要因(よういん)はいろいろと考えられますが、東京などの首都圏が①であるのは、明治六年に新政府が、それまでの「天保暦(てんぽうれき)(太陰太陽暦(たいいんたいようれき))」から「グレゴリオ暦」に切り替え、それをお膝元で徹底(てってい)させようとしたことが一因だと思われます。その際、実際に行われていた「旧暦」のお盆と、あまりに日にちがかけ離れてしまうため、大方(おおかた)の地域で②の「月遅(つきおく)れ」を採用したのでしょう。
毎年八月半ばの「民族大移動」が示すように、②の地域が最も多いことはいうまでもありませんが、しかし、①も首都圏に限られているわけではありません。京都・大阪・滋賀などで盛んな「地蔵盆(じぞうぼん)は、二十四日のお地蔵さまの縁日が③と結びついたものですし、他にも農漁業、養蚕(ようさん)業などの繁忙(はんぼう)期を避けて行われる地域など、お盆の時期は実に様々です。中には広島市のように、八月六日の「原爆記念日」をお盆の準備を始める日としているなど、まさに過去の悲惨(ひさん)な歴史が時期を決める大きな要因となった例もあります。
いつが正しいということはありません。それぞれの地域の歴史や風土が育(はぐく)んできたお盆。大切にしたいものです。

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