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続・質問帳

若林隆壽

質問

お墓に家紋(かもん)を入れると祟(たた)りがあるという人があります。すでに彫(ほ)ってある家紋を削(けず)らなければいけませんか。

回答

若林隆壽

 

  お墓に家紋を彫ることを推奨(すいしょう)しない宗派もあるようですし、地方によっては、最初からその習慣(しゅうかん)がないところもありますので一概(いちがい)には言えませんが、すでに入っているのであれば、わざわざそれを削ることはないでしょう。
 現在の家紋の元になったさまざまな文様(もんよう)の大半は、六世紀の仏教伝来の頃に大陸から伝えられ、時代と共に抽象化(ちゅうしょうか)され、戦国時代を経(へ)て、それぞれの武将(ぶしょう)がその家を表(あらわ)す家紋として定着させました。さらに江戸時代には一般の人々も多くの家紋を創作し、現在その数は二万種類以上にもおよぶといわれています。
 明治以降、西洋化の流れのなかで家紋は衰退(すいたい)していきますが、逆に近年になって、そのデザインの美しさが再認識されるようになりました。そういう意味では、お墓に家紋を掘り込むことが一般化した歴史も、それほど古いことではないようです。
 現代は何でも個人主義がよしとされ、自己中心的な風潮(ふうちょう)が幅(はば)をきかせています。家柄(いえがら)が権力に結びつく封建(ほうけん)時代にもどってはいけませんが、墓石に彫られた家紋を話題にすることで、家族の会話が弾(はず)み、亡き人、ご先祖方を思い出すよすがとなるならば、家紋も役に立ったといえるのではないでしょうか。

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