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続・質問帳

若林隆壽

質問

仏教では「成人式」にあたる行事がありますか。

回答

若林隆壽

 

 選挙権(せんきょけん)を得る年齢を、現在の二十歳(はたち)から十八歳に引きさげようという議論(ぎろん)があるようですが、近年、毎年のようにくり返される「成人式」での破廉恥(はれんち)な騒(さわ)ぎを見ると、とてももろ手をあげて賛成(さんせい)というわけにはいきません。
 もちろん、あれは一部の不心得者(ふここえもの)の仕業(しわざ)で、大方(おおかた)の青年たちは厳粛(げんしゅく)な気持ちで、責任ある大人、社会人への「通過儀礼(つうかぎれい)」の日を迎えているのでしょうが、「成人式」のもつ意味合いも年々変化しているように思われます。
 決まった年齢で受けるものではなく宗派(しゅうは)によっても違いますが、仏教では「受戒会(じゅかいえ)」や「帰敬式(ききょうしき)」「得度式(とくどしき)」といった「仏教入門式」が、これにあたるといえるかもしれません。
 これらは「諸悪莫作(しょあくまくさ)、衆善奉行(しゅぜんぶぎょう)、自浄其意(じじょうごい)、是諸仏教(ぜしょうぶっきょう)(もろもろの悪をなさず、あらゆる善を行い、みずからその心を清くする、これが諸仏の教えである)」という考えを基本として執(と)り行われ、仏教徒としての生活規範(きはん)などが示され、それを守る誓いを立てる儀式です。
 二十歳を迎え、ただ正々堂々とお酒が飲めるようになった、煙草が吸えるようになったなどと騒ぎ立てるのではなく、自分はどれだけ多くの愛情に支えられて育ってきたのか、これから一人の人間として自分は何をしていくのか、「来(こ)し方行(かたゆく)く末(すえ)」をしっかりと見つめる日にしてもらいたいものです。

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