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続・質問帳

若林隆壽

質問

お賽銭(さいせん)箱に「喜捨(きしゃ)」と書いてあるのはどういう意味ですか。

回答

若林隆壽

 

 「貴社(きしゃ)の記者(きしゃ)が汽車(きしゃ)で帰社(きしゃ)した」は同音異義語(どうおんいぎご)-読み方は同じで意昧が違う言葉-の代表選手ですが、お尋ねの「喜捨」も「きしゃ」と読みます。せっかく仏さまにお賽銭をお供(そな)えするのに「喜(よろこ)びを捨(す)てる」とはどういうことなのでしょうか。
 まず「喜」は「喜んで」「自分から、積極的(せっきょくてき)に」という意味です。書店には、上手に片付けることができない人のために、「捨てる技術」を解説した本が何種類も並び、ベストセラーにもなっていますが、ここでいう「捨」はただ単に「捨てる」ことではなく「施(ほどこ)しをする」ということです。
 仏教ではこの「施しをする」こと、「布施行(ふせぎょう)」を大変重んじています。そして本来それは「見返(みかえ)りを求めない」ものでなければなりません。
 お賽銭に「相場(そうぱ)」があるのかどうか分かりませんが、「ご縁(えん)」があるようにと「五円」、少し張り込んでも「始終(しじゅう)ご縁」があるようにと「四十五円」。そのあたりが「平均」ではないでしようか。
 ところが、この「ご縁」という言葉が表しているように、私たちはわずかなお賽銭で、「ご利益(りやく)」つまりそれに見合わない「特別な効果」を期待してしまいがちです。
 そんな卑(いや)しい心を戒(いまし)めるのが「喜こんで捨ててしまいなさい」「布施行をお積(つ)みなさい」という「喜捨」の言葉なのです。「捨てる枝術」は昔から難しいもののようですね。

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