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続・質問帳

若林隆壽

質問

法要の後のお食事を遠慮したら、「ご供養ですから是非に」といわれました。
どういうことですか。

回答

若林隆壽

 

  仏教では、自分の行った善(よ)い行いを、自分のためでなく、他人(ひと)のためにも振り向けるよう説いています。仏さまや亡き人にお供(そな)え物(もの)をして法要を営(いとな)むことなどを「供養」といいますが、いまでは法要の後で食事をふるまうことを「供養の席」と呼ぶことが多くなりました。ときどき「直会(なおらい)」という人がありますが、これは神道(しんとう)で神事(しんじ)が終わった後の酒宴(しゅえん)をいう言い方で、仏教の呼び方ではありません。
  心持ちからいえば「もし、あの人が健在(けんざい)なら、お集まりのなつかしい皆さんにお食事を差し上げ、一緒に時を過ごしたいと思うことでしょう。
  でも、残念ながらそれはかないません。なくなったあの人の気持ちにも添(そ)うことなのですから、どうぞ召し上がっていってください」というほどの意味でしょうか。
  法要の主催者(しゅさいしゃ)を「施主(せしゅ)」といいます。これは単に「お布施(ふせ)」を出す人という意味だけではありません。「施主」の「施」は、仏教の基本的な修行法(しゅぎょうほう)の一つである「布施行(ぎょう)」の「施」です。法要の後の食事の提供は、「施主」が「施す」という善い行いをし、それを仏さまや亡き方のために振り分けていると考えれば、「ご供養ですから」という言い方も自(おの)ずと理解されるでしょう。

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