logo

続・質問帳

若林隆壽

質問

仏教ではお正月の過ごし方に決まりがありますか。

回答

若林隆壽

 

  お正月というと、気持ちも新たに「初詣(はつもうで)」からという方が多いことでしょう。
この頃はあまり言われなくなりましたが、以前は「除夜(じょや)詣」といって大晦日(おおみそか)にお参りし、一旦(いったん)家に帰り、改めて出直(でなお)して「元旦(がんたん)詣」をする風習もありました。
現在のように、年末恒例のテレビ番組を見終わったとたんにどっと繰(く)り出し、お寺の境内(けいだい)で「除夜の鐘」を聞き、そのままその場で新年を迎えるという、「略式(りゃくしき)」ともいえる形になったのは、そう古いことではありません。
さて、「初詣」は「初参り」ともいいますが、其の皆さんがお参りされるお寺で、毎年お正月に行われる法会(ほうえ)を「修正会(しゅしょうえ)」といいます。宗派によって勤(つと)め方はいろいろですが、おおむね、前年に犯(おか)した罪を悔(く)い改め、その年に天災(てんさい)や戦災(せんさい)が起こらぬよう、ひとびとが安心して暮らせるようにと祈る内容になっています。
その起源(きげん)は、8世紀半ば聖武(しょうむ)天皇が諸国の国分寺(こくぶんじ)で「悔過法(けかほう)」を行わせたことにまでさかのぼるといいます。
「懺過法」は読んで字のごとく「過(あやま)ちを悔(く)いるための法会」のことですから、仏教徒のスタートはまず「自己反省(じこはんせい)」からということになるでしょう。
景気回復から志望校合格まで、みなお正月には少なからず切実(せつじつ)な願いを胸に抱(いだ)いてお参りすることでしょう。
自(みずか)らを省(かえり)みて、年の初めにあなたは何を心に誓(ちか)うのでしょうか。

その他の質問<バックナンバー>

カードの画像1

命日

カードの画像1

風習

カードの画像1

十三仏

質問一覧


2007 © 仏教書専門店 中山書房仏書林