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続・質問帳

若林隆壽

質問

「お釈迦(しゃか)さまの高弟(こうてい)の目連(もくれん)さまが、「餓鬼道(がきどう)」に堕(お)ちたお母さんを救ったのが「お盆」のいわれだと伺いました。なぜそんな偉(えら)い人のお母さんが「餓鬼」の世界に堕ちてしまったのですか。

回答

若林隆壽

乳飲(ちの)み子がオギャーと泣けば、母親は自然と乳が張り、一歳近くになって、最初に覚える言葉は「ジジ」でも「ババ」でも、また「パパ」でもなく、ほぼ決まって「ママ」なのは、「生物学的」に生命を維持(いじ)していくために与えられた能力だ、という話を聞いたことがあります。
それほど子どもにとって母親は特別な存在であり、母親にとっても、両手を前に差し出し、ヨチヨチ歩きで「抱(だ)っこ」をせがんでくる我が子は、何物にも代えがたい宝です。
目連さまのお母さんは、どんなに食べ物や資材に余裕(よゆう)があっても、目連さまだけにそれを与え、他に施(ほどこ)すことをしなかったので「餓鬼道」に堕ちたといわれています。
「自分の子どもを可愛い、大切だと思って何が悪いの?」そう思われる方も多いでしょう。
しかし、それも、周囲への配慮(はいりょ)を欠いた行動につながれば、「子煩悩(こぼんのう)」の言葉示すように、仏教で誡(いさ)める「煩悩」の一つ「貪欲(どんよく)=むさぼりの心」につながることを、この説話は教えているのです。

子育てをする人も、周りの人も、お互いが気持ちよく気配りのできる社会、そういうゆとりのある世の中を目指したいものです。

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