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続・質問帳

若林隆壽

質問

なぜ「秋分の日」を「お中日(ちゅうにち)」というのですか。

回答

若林隆壽

高解像度(こうかいぞうど)テレビの開発で、人間の目では判断がつかない、本当に微妙(びみょう)な色彩まで表現できるようになりました。
たまに旧式なブラウン管テレビに出逢うと、どうしてこんなぼやっとした画面で我慢(がまん)できていたのだろうとさえ思います。そればかりでなく、世の中のさまざまな分野でデジタル化が進み、どんなものでも1か0の信号の組み合わせで成り立たせることができる。そんな時代の到来(とうらい)をひしひしと感じます。
 しかしその一方で、極端(きょくたん)にかたよった考えに基(もと)づき「自分の価値観(かちかん)に合致(がっち)しないものはすべて排除(はいじょ)する」という事件やテロが後を絶ちません。実はこの「かたよった考え」から離れて「かたよらない心」を持つことが、仏教の最も基本的な教えの一つ「中道(ちゅうどう)」なのです。
人の感情、喜怒哀楽(きどあいらく)がそうであるように、世の中の物事は、「ある」「ない」、「是(ぜ)」「否(ひ)」だけで解決がつくわけではありません。いろいろな 因(いん)=原因 や 縁(えん)=条件 によって次々と変化していくのです。
太陽がほぼ真東から昇(のぼ)り真西に沈み、昼夜の長さがおおよそ等しくなる「秋分の日」は、その大切な「中道の教えに思いを寄せる日」だからこそ「お中日」と呼ばれるのです。
 「白黒はっきりさせない」というと悪いことのように感じられますが、その「曖昧(あいまい)さ」が人生を豊(ゆた)かにしてくれることもあるのです。「かたよらない心」を心がけましょう。

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