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続・質問帳

若林隆壽

質問

最近、御朱印(ごしゅいん)集めに熱中しています。どんなことに気をつけたらいいですか。

回答

若林隆壽

あなたは、頂いてきた御朱印を、その後ゆっくりと見返すことはありますか。御朱印ではありませんが、以前、日本屈指(くっし)の絵馬(えま)の収集家(しゅうしゅうか)の方からこんなお話しを伺いました。
「絵馬を集めていることを知って、ご親切に旅行先から絵馬を送ってくださる方があります。しかし、私が絵馬を集めるのは、お寺参りの手段であって目的ではないのです。どんなご本尊(ほんぞん)さまや伽藍(がらん)だったか。その日の天候や季節、誰と一緒にお参りしたかなどの情報が、一枚一枚の絵馬にすべて込められています。ですから申し訳ないことですが、自分で授(さず)かった絵馬と他人(ひと)から贈(おく)られた絵馬とでは、思い入れが違うのです」と。
御朱印は、もともとは写経(しゃきょう)を奉納(ほうのう)した証(あか)しで、「御朱印帳」は「納経(のうきょう)帳」ともいいます。そして、そこに押される御朱印は、そのお寺のご本尊さまそのものなのです。
古くは切手や古銭(こせん)などから、最近ではスマホゲームの中で入手して使えるアイテム(武器(ぶき)や道具)まで、人は他人の持っていないものを、自分だけ手にしたいという欲望を持っています。しかし「求不得苦(ぐふとくく)」といって、求めて得られないときに、それは苦しみにつながります。
御朱印集めはたんなる収集(しゅうしゅう)ではありません。お寺参りのご縁(えん)を結んでくれる手段とし、たとえ対価(たいか)は数百円でも、大切に扱っていただきたいものです。ゆめゆめインターネットオークションなどで売買してはいけません。

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