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続・質問帳

若林隆壽

質問

幼稚園の「花まつり」の仏さまは、なぜ白い象に乗っているのですか。

回答

若林隆壽

    「花まつり」は仏教を開いたお釈迦(しゃか)さまのお誕生をお祝いするおまつりです。ですから、「花まつり」の仏さまは、生まれたばかりのお釈迦様のお姿を表しています。
  お釈迦さまは、元のお名前を「シッダールタ」といい、いろいろな説がありますが、今からおよそ二千五百年前、紀元前四六三年の春・四月八日に、花咲き匂(にお)うルンビニの花園で、シャークヤ族(ぞく)(釈迦(しゃか)族)の太子(たいし)としてお生まれになったといわれています。その「釈迦族の聖者」という意味の「シャークヤ・ムニ」を漢字で「釈迦牟尼(むに)」「釈迦牟尼世尊(せそん)」と音写(おんしゃ)し、それを縮めて「お釈迦さま」「釈尊(しゃくそん)」などと呼んでいます。
  そのルンビニの花園を表しているのが、お花で飾られた「花御堂(はなみどう)」ですが、そのお堂が白い象に乗せられているのは、一つには、お母さまの摩耶夫人(まやぶにん)が、空から六本の牙(きば)のある白い象が降(お)りてきて、右脇から身体(からだ)の中へ入る夢をご覧になり太子を懐妊(かいにん)されたとの、「托胎霊夢(たくたいれいむ)」という伝説によっています。六牙(ろくげ)の白象(びゃくぞう)は、あらゆる人々を救うすぐれた知恵(ちえ)や長寿の象徴(しょうちょう)だといわれています。

  また、自然界にはなかなか存在しない白い象は、インドや東南アジアでは特に神聖視(しんせいし)され、国王などごく限られた、高貴(こうき)な人の乗り物であったことにも由来(ゆらい)しています。
  お釈迦さまを稀有(けう)な存在として尊(とうと)び、慕(した)う人々の気持ちが、こうした表現を生んできたのです。

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