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続・質問帳

若林隆壽

質問

修学旅行でお参りしたお寺に「足跡(あしあと)」の形が彫(ほ)られた石がありました。あれは何ですか。

回答

若林隆壽

  それは、「仏足石(ぶっそくせき)(仏足跡)」と呼ばれるもので、お釈迦さまを「象徴的(しょうちょうてき)に表(あらわ)したもの」です。
  現代のわれわれは、礼拝の対象として、まず「仏像」を思い浮かべますが、実はお釈迦さまが亡くなられてから五百年ほどの間、「仏像」が作られることはありませんでした。その間お釈迦さまを慕(した)う人々は「菩提樹(ぼだいじゅ)」「宝輪(ほうりん)」「宝座(ほうざ)」「傘蓋(さんがい)」そして「仏足石」など、「象徴的に表したもの」を拝んでいたのです。

  お釈迦さまには、「三十二相」といって、三十二の優(すぐ)れた身体的特徴があったとされ、そのひとつが、足の裏に回る「車輪(しゃりん)」の相があったという「足下千輻輪相(そくげぜんぷくりんそう)」です。
  ご覧になられた「仏足石」にも「転法輪(てんぽうりん)」という「車輪」が描かれていたと思いますが、これはお釈迦さまが諸国を巡られ、人々を苦の世界から救うための法を説かれる様子を、滑(なめ)らかに回る「車輪」に喩(たと)えたものです。
  いまでも、その人の遺(のこ)した業績について、「足跡(そくせき)をたどる」という言い方をしますが、数千年以前から、そのような考え方があったかと思うと、何とも不思議ですね。

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