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続・質問帳

若林隆壽

質問

お仏壇を購入したら、中の仏さまはお寺で「開眼(かいげん)」して下さいと言われました。
「開眼」とは何のことですか。

回答

若林隆壽

 

  市民の文化育成の拠点(きょてん)にと、莫大(ばくだい)な税金を投入してできあがった立派な市民ホールが、その後少しも活用されない。「まったく仏造(つく)って魂(たましい)入れずだなあ」、そんな批判をバブル崩壊(ほうかい)の後、ずいぶんと耳にしたものです。
この「魂入(たまい)れ」が「開眼」のことで、「入魂(にゅうこん)」 「開明(かいみょう)」 「開光明(かいこうみょう)」などともいいます。仏像を造ったり描いたりするときに、大部分を完成させた後で、仕上げに目を描くことを「点晴(てんせい)」といい、そこで初めて、ただの木や金属でできた物体が、あるいは描かれた絵像(えぞう)が、仏さまになって完成するという考えに基(もと)づいています。
こんな喩(たと)えはどうでしょう。コンピューターを買ってきても、記録媒体(ばいたい)を初期化したり、ソフトウェアをインストールしなければ、機械はただの機械で何の役にもたちません。原稿用紙のマス目をきちんと引く作業をしなければ、原稿を書き始めることはできません。その基礎作業が「開眼」であり、それについては、修行を積んだ専門家、つまりお寺さんにお願いしましょうということです。
ただ、せっかく「開眼」して頂いても、その後お参りしないのでは、市民ホールの二(に)の舞(まい)です。仏さまとどう向き合っていくのかは、あなた自身のこれからにかかっています。

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