■本堂

本堂は、鉄筋コンクリート造りで、浮見堂風のきわめてユニークな建築で、住職の独創であるという。 屋根は四注造り、単層銅板ふきである。

堂は、高床で回縁を廻らし、正面から石階で登る。

階段、並に回縁には鉄製の組高欄(手すり)をとりつけてある。
 
南側中央の間は、観音開きの入口になっている。そして扉には、千葉氏にゆかりのある寺紋の「月星の紋」がある。  そして、扉の両側の間は、連子格子になっている。


また校倉造りの様式を縦にしたような風にも思われる。5本の連子は 、中側から、「青、黄、赤、白、黒」の順序に塗られている。

また、西側の連子も、中側から、外側の方へ、「青、黄、赤、白、黒」の順序に塗られている。 東側は、中央の間は、「月星の紋」のある扉がはめられてある。中央の間から、北側の間の連子は、内側から、「青、黄、赤、白、黒」の順序に塗られている。また、中央の間の南側の間は、内側から、「青、黄、赤、白、黒」の順序に塗られている。  

北側は、南側、東側と異なって、中央の間に扉がない。三間とも、五本の連子は、五色に塗られている。北側の東の一間は、外端から、「黒、白、赤、黄、青」の順序に塗られている。中央間は、「青、黄、赤、白、黒」であり、西の方の一間は、内側から、「青、黄、赤、白、黒」に塗られている。


西側は、中央間は、「月星の紋」のある扉がある。
中央の間の両側の五本の連子は、東側と同じように、「黒、白、赤、黄、青」の順序に塗られている。そして、両側の外端は、黒で、内側は青である。中央は、赤である。

周りの池には、清水がたたえられ、水草や、浮草の緑も美しく、また、防火用水もかねて、一石二鳥の役目を果している。
仏教では、世の万物は、「空、風、火、水、地」の五物からなっているという。それに、あやかりて、五色に塗ってあるという。すなわち、黒は地、白は水、赤は火、黄は風、青は空であるという。
 
屋根は、単層銅板ぶきである。一軒疎垂木の末端は、白で塗られ、四隅には、風鐸がつるされている。

そして、屋根の中央には、如意宝珠のかわりに、五匹の犬像がある。そのいわれは、真言宗の開祖、空海が、嵯峨天皇の御代、高野山に、金剛峯寺を建立するにあたって、山深くわけ入った時、二匹の黒、白の犬をつれた、化神と思われる老翁の導きによって、無事に目的地に辿りつき、その念願を達したという。

当寺が、如意宝珠の代わりに、開山に伴う伝唱の犬にあやかりて、五匹の犬像を造ったという。

五匹の五は、「空」「風」「火」「水」「地」の五物の五に、あやかりたという。 堂の内部には、寺宝の板碑が、壁面の十三ヶ所にあって保管に十分の留意がなされている。

天井は、格天井であって、梵字の「ア」の図案化した模様で飾られている。
そして四隅には、灯が吊されてある。  本尊は、聖観音である。夕顔観音と称している。175p程である。一辺、37pの框座は、八角形であり、数多くの反花は、形よく美しい。受座は、一辺45pであり、蓮辨も形よく美しい。  
尊像は、慈悲の相あふれ、温容や風貌、ふくやかな頬、宝冠、肉髻、腕釧、肩から流れるような天衣、条帛、また、裳、裙、瓔珞も美しい。印相は、施無印、与願印である。均整のとれた金銅仏といわれている。