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続・質問帳

若林隆壽

質問

「手元供養(てもとくよう)」という言葉を耳にしました。どういうことでしょうか。

回答

若林隆壽

   現代は人と人との横のつながり、「絆(きずな)」ということが叫(さけ)ばれる反面、戦後進んだ「核家族化(かくかぞくか)」により、いわゆる「家」という単位でものを考える機会が少なくなり、「先祖代々のお墓に入る」「子々孫々お墓を守っていく」といった、ご先祖さまを想(おも)う「継続(けいぞく)」の意識はだんだんに薄れてきているといわれます。
  そうしたことを背景(はいけい)に、グリーフケア(近しい人を亡くし悲嘆(ひたん)にくれる人の心を癒(いや)すため)の方法の一つとして、近年「手元供養」という言葉ができました。
  荼毘(だび)に付(ふ)したお骨(焼骨・遺灰(いはい))を分骨(ぶんこつ)し、一部は墓地に納骨(のうこつ)して、残り(分骨しない場合は全部)を自分の「手元」に置いてお参りすることをいい、「自宅供養」ともいいます。もちろん昔からある言葉ではなく、加工業者や葬祭業者などが創り出した言葉です。
  以前から、大勢の方のお骨を集めて「骨仏(こつぶつ)」にする寺院はありましたが、人造ダイヤモンドのように、ペンダントやブレスレッドに加工したり、パウダー状にした遺灰を陶器のように焼き固めたり、樹脂と混ぜて花瓶や遺影(いえい)入りプレートにしたりといった、いろいろな形態が考え出されたのは最近のことです。 
  一般的とは言い難(がた)いですが、愛しい方が亡くなられた後も、いつまでも一緒に過ごしたい、その拠(よ)り所となるものが欲しいという切なる心情に答えたものとはいえるでしょう。

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