応急手当に関する現状と提案

防災用品として自治体関係者の皆様へ

災害時の医療救護計画について

災害時の医療救護計画について
大規模災害を想定し、被害想定人数を割り出し、どのような医療救護計画を作るかは非常に難しいのが実状です。
例えば、大地震を想定する場合、各家庭において火をあまり使っていない朝10時ごろと、夕食の支度で火を一番使っている午後6時ごろとでは、全く被害状況は違ってきます。また、住民の人口も昼間と夜、その移動人口を考えた場合、その数は大きく違ってくるでしょう。このように起こる時間を何時ごろと想定するか、これだけで被害想定人数は大きく変動します。
更に変動する被害想定人数に対し、医療機関の数、医師の数だけを数え、患者何人に対し、救護にあたる医師は何人との予想も難しいものです。なぜなら、大規模災害が起きた場合、被害を受けるのは住民数の何%だから何人とは限らず、医療機関も医師も被害者の一人となり得ますし、その復興には時間がかかることが想定されるからです。他地域からの応援も考えられますが、規模によっては道路が寸断されてしまったり、通信網も一時的には混乱してしまうことなども予想されます。更にはもっと広く、他地域も同時に災害が起こっている可能性があり、必ずしも応援が確実に得られるとは限りません。
以上のような事柄を考慮しますと、医療救護資材の量は、被害想定人数の倍の量を確保しておくのが理想と言えます。
もちろん、災害事故は大規模だけとは限らず、労働災害、企業災害、学校や体育施設でのスポーツ障害等、日常の産業や生活事故に対する医療救護体制も必要と思われます。まして、人里離れた農業や漁業、林業を営む郡部や過疎地域などでの医療救護体制の確立は、急務なのではないでしょうか。
医療救護班の例
  1. 医療救護班の編成人員

    医師1〜2名、看護婦2〜3名、事務、または連絡員1名、車で移動する場合の運転手1名、合計5〜7名が理想です。


  2. 救護所、救護員は拠点式とするか、それとも移動式とするか
  • 拠点式とするなら仮設救護所、または仮設病院等が考えられますが、その建物として体育館やテント、簡易ベット等の用意が必要です。負傷者に対しては、本人に直接救護所へ来てもらう、または負傷者を連れて来てもらうようにしなければなりません。
  • 救護所に負傷者が自分で来られる、または連れて来られる軽傷患者ならさほど問題はないと思われますが、その現場で動けない、またはすぐには移動できない重傷患者、特に呼吸停止、呼吸困難、酸素欠乏状態の負傷者に対する救命蘇生、その救護活動を現場に即して、迅速且つ的確に行うことを考えた場合、移動式が最も理想的と思われます。
医療体制の一次救命手当、その最先端となるのが救急用人工蘇生器、次に救急医療セットで、その後、全体の被害状況の掌握、仮設救護所の設置、または他地域への応援依頼、同時に二次救命手当の可能な後方医療機関への搬送が急務となります。
災害用医療救護資材について
一般に災害用として、まず考えられるのは、毛布やカンパン、次には担架や三角巾などの簡単な救急箱であり、これらは比較的にすぐに用意しやすいのが実状でしょう。しかし、集団災害等、多発性患者への医療救護活動を、成人から新生児まで行うには、簡単な救急箱程度の整備では、とても間に合いませんし、到底不可能なのです。このような場合の医療救護活動をよりスムーズに確実に行うには、診断用具、識別連絡用具(重傷、中傷、軽傷患者の分類)、蘇生用具(成人用、新生児用、酸素吸入器、吸引器を含む)、気管挿管用具、縫合切開用具、注射輸液用具、眼科耳鼻科用具、助産用具、包帯材料(骨折固定用具を含む)を完備された救急医療セットの整備をすることで熱傷患者、創傷患者、骨折患者、更には助産計画までの対応が可能となります。
最も重要な医療救護資材とは
重傷、中傷、軽傷、それらの患者のなかで、最も重視しなければならないのは呼吸停止、呼吸困難、酸素欠乏状態の患者に対する救命蘇生です。呼吸が停止してから人工呼吸を行った場合の救命率は、2分以内90%、3分以内75%、4分以内50%、5分以内25%(米国救急医師、ドリンカー博士)とされています。事態発生に際し、直ちに人工呼吸、酸素吸入、吸引除去、気道確保等を、迅速且つ的確に行うために救急用人工蘇生器の整備が最も重要であると言えます。
救急用人工蘇生器に求められる条件とは
  1. 自発呼吸(自然呼吸)があれば、呼吸に応じて呼気の時だけ自動的にバルブが開き酸素が供給される、デマンド式(自動酸素吸入)であること。または酸素吸入器がついていること。
  2. 呼吸がなければ呼吸器のトリガー(手動引金)を引き、酸素を肺の中に送り込み、人工呼吸を行えるトリガー付きデマンド式のもの。または酸素ガスの吐出圧によりダイヤフラムを作動させ、陰圧、陽圧によって呼気、吸気が自動的に行われ、人体へ酸素を供給するプレッシャーリミット式(自動人工呼吸)で心肺蘇生(CPR)、心臓マッサージに有効な人工蘇生器であること。
  3. 成人、新生児兼用であること。
  4. その他、フタを閉めたままでも酸素の残量が確認でき、操作が簡単で緊急時、室内、室外を問わず、直ちに使用できること。

    などが救急用人工蘇生器に求められる条件として上げられます。ご用意される場合の目安にしていただければ幸いです。

ESPOIR
info@espoir-oq.com
Copyright (c) 2008 エス・ポワール All Rights Reserved.