トピックス  1999.12.7 朝日新聞記事より〜仏教書専門書店・中山書房仏書林〜仏教初心者から上級者まであらゆる仏教書を取り揃えております
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仏教書専門中山書房 トピックス
1999.12.7 朝日新聞記事より
Vol.1




東京・湯島の一角に、仏教を専攻する学者や学生に愛されてきた書店がある。
82歳の店主の中山晴夫さんは、著名な学者たちを若い時から知り、深くつきあってきた。
年の暮れに、その親父の回顧を聞いてみた。 (田沢 健次郎)

三重県生まれの中山さんは、家が倒産したため、高等小学校を出ただけで働かなくてはならなかった。「知り合いの東京の本屋が人を募集している」との担任教師の勧めで、1932年の4月、15歳で上京し、東大赤門前の仏教書専門の店に住み込んだ。しかし、そこにある本は難しいものばかりで、一字もわからない。「こんなところじゃ生きていけない」と柳行李(こうり)を背負って夜逃げしようとしたら、様子を察した店の親父に出口でつかまってしまった。ここに20年間奉公した。「こういう本はあるか」と親父に聞かれて答えられないと、ソロバンで頭をたたかれた。必死で仏教書の名前を覚えた。おかげで35歳で独立した時にはすべて頭に入っていた。「夜逃げでつかまって本当に良かった」と思っている。著名な仏教学者たちと深い交流ができたからだ。

今年夏、がんで亡くなった鈴木格禅さん(駒沢大名誉教授)が学生の時、中山さんは朝早く本郷を出て、注文の本を自転車で駒沢大学寮によく届けた。着くのは昼ごろだった。格禅さんは「麦めしのカレーだけど、いいか」と大学の食堂でごちそうしてくれた。亡くなる一ヶ月前、格禅さんの家に見舞いに行った。「お疲れになるから」と帰ろうとすると、「いいじゃないか、もっとゆっくりしていけよ。寮で飯食って遊んだだろう」と名残惜しそうに引き留められた。

今秋亡くなった文化勲章受章者の中村元さん(東大名誉教授)は、「恐縮居士」のあだ名があるくらいにていねいな人だった。学生時代の中村さんの家で、その「恐縮」を味わった。「本を届けに玄関を開けると、先生のお母さんが、とととっと廊下に出て来て座って、「へぇへぇ、ありがとうございます」とあいさつされる。その後に出てきた先生がお母さんと同じように廊下にぴたっと座って、「あ、中山さん、へぇへぇ、どうもご苦労さんです」とあいさつなさる。代金をいただいて玄関から出るまで、二人して廊下に座って手をついて見送って下さった。私のような小僧にですよ」玉城康四郎さん(東大名誉教授)も今年亡くなったが、中山さんが、よく胃をこわしていた玉城さんにロイヤルゼリーがいいと勧めると愛用し、お陰で調子がよくなった、長生きできると、会うたびに感謝してくれたという。

中山さんは仏教書の出版もしていて、その分野では現役最長老だ。一般の人がわかるようにと、市販の仏教書の総目録づくりも他の出版社と実現させている。学者とのつきあいの所産の一つに、日本印度学仏教学会を創立し、83年に90歳で亡くなった東大名誉教授、宮本正尊氏の追悼集(「宮本正尊博士の世界−人と思想」)がある。約千ページの大著で、直弟子たちが編集責任者になり、今年6月に中山さんが発行している。「成城に住んでおられた宮本先生のお宅に本を届けると、遠いところをご苦労さんと、咲いている桜の大木を一枝を折って、菓子と一緒に下さったものです。先生は、今は大物となった弟子たちに校正などの仕事をよく言いつけたが、みんな、自分の勉強になり、論文を書くのに役立つと、喜んでやっていましたよ」学生との交流も濃かった。
卒論のためにどんな本を読んだらいいのか、当時の学生たちからよく相談された。そうした学生が卒論で高い評点をもらうと、中山さんがカツをおごり、低い点の学生は逆に安いそばをごちそうしてくれた。時代が移り、大学内の書店に仏教書がそろうようになると、相談に来る学生も絶えた。

しかし、今春、ひとりの学生がお礼に来た。「探してもらった本のおかげでいい卒論が書け、卒業できました。」中山さんは感無量だった。

「20年ぶりですよ。こんなこと」家族経営の書店だから、新刊を年5冊出すのがせいぜいだが、わかりやすい仏教書を目指して47年間、季刊の小冊子「仏教の生活」を出し続けてきた。仏教関係者のやさしい文章などで埋まっている。
表紙は遊ぶ子供の表情などだが、いずれも、店番や中古書仕入れの合間に中山さんが撮影したものだ。
全3巻の「成唯識論要講」の刊行にも今、力を入れている。元駒沢女子短大教授の太田久紀氏が薬師寺などで行った成唯識論の講義をもとにしている。約30年間にわたって太田さんに声をかけ続けたもので、「全部が完結すれば安心して死ねる」と笑った。

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